『曲芸お伽草子』
2011年10月25日 発行
発行:鶴書院 発売:星雲社
A5判 並製 56ページ オールカラー 定価(本体1,000円+税)
白い月がボクを見ている
公園のベンチに座った 池の中にコサギが一本足で立っている
昔聞いた話を思い出した サーカスの美しい女芸人にひとめぼれした男の話
気をひこうと指一本で逆立ちすることを思い立ち 毎日毎日練習してついに出来るようになったんだつて・・・
パジャマのボクを横目で見ながら犬が通りすぎた 老人が通りすぎアベックが通りすぎ若い女が通りすぎた
飼い主をひっぱって大型犬が通りすぎた 同じ人を三度見た 同じ犬を二度見た
ベンチから腰をあげボクも池をひと回りすることにした
クモの巣の露が小さなガラス玉のように光っている 噴水が白い波をたてる カメが首をだして泳いでいる
背びれをだしてコイが泳いできた カモが飛び立った
自転車に乗った女学生がボクをおいぬいた サラリーマンも早足で通りすぎた
空がすっかり金色にかがやきはじめた
公園の出口の露店で「ブリキのサーカス」という画集を買った
「うれてる」 「あなたがはじめてですよ」
ボクは家にもどって服を着がえた コーヒーをいれイスに腰をおろす 電車の音 カラスの鳴き声












